草庵草庵

ひつじ草に微笑む

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2017/1/8発行 P78 A6 以前参加させて頂きました元主×刀アンソロ寄稿分と書き下ろし。 元主と、元主の家と刀の話。 宗三左文字、へし切長谷部、日本号、歌仙兼定、陸奥守吉行のそれぞれの話となっております。 ※創作であって史実とは異なる場合があります。  又、捏造設定がありますので十分にご注意ください。 ※審神者は出て来ません。 下げ渡されたその瞬間から持ち主は変わる。 当然のことながらそこに下げ渡される刀の意思などなく、例えその刀が付喪神であっても見えぬ者にはただの物でしかない。 岐阜からの旅路を終え、姫路の城に戻った小寺官兵衛を出迎えた子の松寿丸は笑顔を見せた後に不思議そうな顔をした。じっと父の横の何もない空間を見つめる。どうしたのかと問うてみると、そこに見知らぬ者が座しているという。さて妙なことだと官兵衛は首を傾げた。官兵衛の目から見てもそこには何もない。常日頃から松寿丸がそのような事を言う子であったら、何ぞ見える子なのかとも考えるがそんなことはこれまで一度もなかった。その者はどのような様子かと子に尋ねてみると、むむむっと眉間に皺を寄せて見せ、このような顔をしておりますると答える。興味本位で、ではその眉間を押してみよと伝えると、松寿丸が顔を背けられましたと言い、次いで、その者は黙って官兵衛の傍らの刀を指差したと言うので合点がいった。そこには岐阜にて織田信長公より拝領した刀があった。茶坊主を手打ちにした際の切れ味から『へし切長谷部』と名付けられた刀であった。 『最後の一手』

2017/1/8発行 P78 A6 以前参加させて頂きました元主×刀アンソロ寄稿分と書き下ろし。 元主と、元主の家と刀の話。 宗三左文字、へし切長谷部、日本号、歌仙兼定、陸奥守吉行のそれぞれの話となっております。 ※創作であって史実とは異なる場合があります。  又、捏造設定がありますので十分にご注意ください。 ※審神者は出て来ません。 下げ渡されたその瞬間から持ち主は変わる。 当然のことながらそこに下げ渡される刀の意思などなく、例えその刀が付喪神であっても見えぬ者にはただの物でしかない。 岐阜からの旅路を終え、姫路の城に戻った小寺官兵衛を出迎えた子の松寿丸は笑顔を見せた後に不思議そうな顔をした。じっと父の横の何もない空間を見つめる。どうしたのかと問うてみると、そこに見知らぬ者が座しているという。さて妙なことだと官兵衛は首を傾げた。官兵衛の目から見てもそこには何もない。常日頃から松寿丸がそのような事を言う子であったら、何ぞ見える子なのかとも考えるがそんなことはこれまで一度もなかった。その者はどのような様子かと子に尋ねてみると、むむむっと眉間に皺を寄せて見せ、このような顔をしておりますると答える。興味本位で、ではその眉間を押してみよと伝えると、松寿丸が顔を背けられましたと言い、次いで、その者は黙って官兵衛の傍らの刀を指差したと言うので合点がいった。そこには岐阜にて織田信長公より拝領した刀があった。茶坊主を手打ちにした際の切れ味から『へし切長谷部』と名付けられた刀であった。 『最後の一手』